岐阜新聞朝刊のコラム「素描」第6回 2021年4月10日『「お客様の声」に宿る不思議な力』

昨年6月、新型コロナの影響で販売する機会がなくなったヒノキ製の植物プランター30個を売ってほしいと地元木工団体から依頼が来ました。1ヵ月間、店舗に置いて様子を見ましたが、全く売れません。お客様からは「塗装されていない。デザインが好きじゃない」と売れない理由をご指摘いただきました。でも完成した商品を作り替えることはできません。
そんな中、猫を飼っているスタッフが「家の猫なら入るかも」とひらめきました。実験してみたら2匹ともが植物プランターに入って眠ってしまい、商品名を「つけちヒノキの高級ねこプランター」に変え、猫用ベッドとして販売することにしました。未塗装だったことがヒノキの香りを引き立て、形状も猫が安心するサイズ感となり、売れない理由が”猫に優しい商品“に変わりました。
在庫の30個は順調に売れ、メディアで取り上げられたことをきっかけに3日間で千個の注文が入りました。鳴り続ける電話対応を減らすためにネット注文の仕組みを用意し、増産手配に奔走しました。一方、突然の変化にスタッフから「クレームが怖いからやめよう」という意見も出ました。起こってもいない未来に不安を抱いて行動できなくなってしまいました。
不安を吹き飛ばしてくれたのは、お客様からのお礼の言葉と、猫たちがベッドでくつろぐ写真と動画でした。私たちの仕事は間違いなくお客様の役に立っていたのです。
新しい挑戦は、時に心ないからかいをもらうこともあります。役に立てるかもしれない人の笑顔を思い浮かべると、不思議と勇気が湧いて、続けることができるのです。
この記事は
株式会社ごえん 代表取締役社長
地域商店コンサルタント
山田文美(やまだあやみ)
が書きました。
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