岐阜新聞朝刊のコラム「素描」第8回 2021年4月24日『小さな個人商店のその先にある挑戦』

地元から消えつつある文化を残したいと、2019年春に築150年の古民家をゲストハウス&カフェに再生しました。普通の木造住宅ですが、幕末から明治、昭和、平成の時代の移り変わりを見てきたのかと感じたら令和にも活躍してほしいと思ったからです。
夜に窓を開けると外は真っ暗闇。夜中になるとイノシシが地面を掘り返す音が響いてきます。明け方には鳥のさえずりが聞こえ、昼間には風が木々を揺らすざわめきと虫の鳴き声が心地よいです。郷土食をメニューにし、レコードとボードゲームを置いています。
懐かしさを求める50代以上のお客様が利用するだろうと予想していましたが、実際には親子連れのほか、20代、30代の方が「新しい感じがする」と利用しています。
地域おこしという名の下に多くのイベントが催されてきましたが、地域は寝かせたままの方がいいと考えを改めるようになりました。作り込まれた物事を押し付けるのではなく、田舎のありのままをインターネット上で見つけてもらい、訪れる行動を引き出す”地域寝かせたまま作戦“が地域を救うかもしれません。
都会から取り残された田舎の古くささを知らない世代が増え、田舎を訪れる消費行動につながっています。そこで、ありのままの田舎を発信するホームページを作り始めました。町内会で世話をする鎮守の小さな神社や透明な川の流れ、住民の生活を支える個人商店など「暮らし方」を伝え、地元にちなんだ品をECショップで販売します。
まるでこの町に暮らしているかと錯覚してしまうような疑似故郷をつくる新しい挑戦です。
この記事は
株式会社ごえん 代表取締役社長
地域商店コンサルタント
山田文美(やまだあやみ)
が書きました。
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