「ねぎらい言葉」をコミュニケーションに取り入れよう! 相手別の伝え方&目標は共感の獲得

ねぎらいとは、結果に関係なく取り組みそのものに感謝を伝えること。本人の持てる力100%を発揮してもらえる土台となります。最終目標は、会社や店の考え方に共感してもらうことです。
年末は最大のねぎらいチャンスです。一方、ねぎらいは「おかげさま」で人間関係をつくる技術。年に一度の年末ですから「今年も一年間を無事過ごせたのは、あなたの協力のおかげです。ありがとう」と伝えてみましょう。
おかげさまだけでは伝わりにくいので、「あなたの協力のおかげ」「あなたの頑張りのおかげ」「あなたのPOPのおかげ」「あなたの笑顔のおかげ」などと、具体的な行為と一緒に言葉にしましょう。普段うまく言えず、慣れていなくても、年末という一区切りに、ねぎらいの気持ちを伝えましょう。従業員に感謝して、従業員から感謝される年末にしたいですね(図表①)。

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頑張る人に余裕を持たせる「ねぎらい言葉」
売上げ目標に達しないときに、どんなにハッパを掛けても、それだけでは従業員の士気は高まりません。うまくいかない理由は、従業員個人の気持ちではなく、現場の仕組みにあるからです。
売上げは、集客&店頭&フォローの連携プレーでつくられます。店頭従業員は“お客を呼んでくれなきゃ接客もできない”、集客担当は“来店客に売り込んでくれなくては集めたかいがない”、フォロー担当は“さまざまな想定が後回しだから同じ問題が起こる”と、売上げを左右する問題であるが故にそれぞれが違和感を持っています。
働く気があるからこそ出社して、頑張っているのです。少ない人手でも、思うように結果が出なくても、取り組んでいる従業員は、ねぎらいの言葉掛けによって心に余裕が生まれます。
その結果、粘りが出て一手間を足すことができ、お客に寄り添う観察力が発揮され、食い違っていた仕組みを連携させる働きをしてくれます。忙しい年末でも、従業員の心に余裕を持たせ、限られた人手を最大限生かせる「ねぎらい言葉」を使いこなしてください。
ねぎらい言葉の基本は、あいさつとしぐさ
ねぎらいと褒めるは違います。結果に対しては褒める。結果にかかわらず、取り組みそのものについて感謝を伝えるのがねぎらいです。ねぎらいは従業員の存在を丸ごと認めることになり、本人の持てる力を100%発揮してもらえる土台となります。
結果にかからわず、取り組みそのものに感謝するのがねぎらい
足を止め、目を合わせ、笑顔で聞きましょう
うまい言葉をひねり出そうとするよりも、日常使っている言葉を、しっかりと対面で笑顔とともに伝えることが基本です。目を合わせず、ぶっきらぼうに、ついでのような態度で伝えるのは逆効果です。
「おはよう」「ありがとう」などのあいさつは、足を止め、目を合わせ、笑顔で伝えたら、それだけで「あなたを気に掛けています」と伝わり「ねぎらい」になります。忙しい時期にだけいきなり「ねぎらい言葉」を伝えてもうさんくさく感じられてしまいますから、常日頃のあいさつを意識しましょう。
人は自分に関心を持たれることによって、自分の存在を認めてもらったと感じます。自分が所属する会社に居場所を感じます。これが愛着へと育ち、仕事にやりがいを感じ、売上げにつながる行動になっていきます。
あいさつの他にも、従業員には頻繁に声掛けをしましょう。「困ったことはない?」「最近どう?」と、足を止め、目を合わせ、笑顔で聞きましょう。
褒めるときも使うべきでない言葉
ねぎらいは従業員をぐぐっと成長させることがあります。ねぎらい言葉を掛けるには、相手を気に掛けていなければいけません(図表②)。繰り返しますが、ねぎらい言葉を掛けられると、自分の存在を認めてもらっていると感じ、責任感と自信が芽生え自発的な成長が始まります。
褒めるつもりで、つい使ってしまいやすい言葉があります。例えば、「やればできるじゃないか」。これは、非難されていると勘違いされやすいです。
こうした場合は「しっかりやってくれたね。ありがとう」と言ってみましょう。他にも「運がよかった」は禁句、「運を引き寄せたね」の方が取り組んだ過程までねぎらうことになります。「頑張れ」も禁句、「もっと上を目指せる人だと思う」と将来性まで含む言葉を使いましょう。
「頑張れ」は禁句、「もっと上を目指せる人だと思う」を使いましょう。

相手を応じて伝え方、言葉を変える
同じ店、同じ部署でねぎらう場合でも、従業員の属性によって、言葉や伝え方を変えることも有効です。
入社して1年未満
あいさつを多めに
職場での人間関係建築をしている時期です。存在を認めるねぎらい言葉であるあいさつを使ってみてください。難しい言葉を使うより、回数多めを意識しましょう。
コツは「山田さん、こんにちは」「山田さん、気を付けて帰ってね」などと、あいさつの前に相手の名前を入れることです。名前を呼ぶことが存在を認めることにつながります。
中堅従業員
数字を使った言葉
現場に慣れてきて飽きを感じるころでもあります。自分自身の変化に気付いてもらうと、成長につながります。数字を使ったねぎらい言葉を掛けてみましょう。
例えば、「今月の目標、まだ1週間しかたっていないのに30%も達成しているね。どうやっているの?」などと、相手の取り組みに興味を持ちましょう。結果につなげるのは、仕事だから当たり前だと思われがちです。でも、そこには必ず行動をしている従業員がいるのです。当たり前の積み重ねこそ、ねぎらいに値します。
ベテラン従業員
本人の前で社外に伝える
ベテラン従業員は、成功体験をベースにして自分流をつくり出しています。それ故に変化を嫌い、自分の可能性にふたをしやすくあります。
変化に強い現場を支える土台となってもらうためには、「社外に対して褒める」ことで、ねぎらい言葉を使いましょう。
お客に対して従業員本人の目前で、
「山田がこの部門の仕入れを担当しています。だから、隠れた名品が並べられているのですよ」
「担当の山田には、私自身いつもアドバイスを頼んでいます」
などと、頼りにしているとの意味を含ませます。従業員が自身への信頼を感じて、新しい変化を恐れずに、現場の要となってくれるでしょう。
給料優先の従業員に社長と上司への共感
どんなに心が満たされても、現実的に給料額や昇給の方が大事だという従業員もいます。たくさん給料を出したいですが、儲けた中からしか払えないのも現実です。
それでも、中小店で生き生きと働く従業員に共感する特徴は、社長や上司への共感があることです。共感を「共に感じる」と書くくらいですから、社長や上司の考え方を常に明確に伝え「そうだな」「自分も同じように思う」と感じてもらえる努力も必要です。
もちろん、稼ぐために働くことが就業の入り口です。でも、働いているうちに生きがい、やりがいが芽生えたら、仕事が楽しくなります。
昇給基準は常に見直しつつも、並行して自店の存在意義を明確にする言葉を持ちましょう。この店を通して、お客にどんな変化をしてほしいのか。そのために大切にしたいことは何か。これらを従業員に言葉にして伝えられる社長や上司でいてください。
従業員から「この店で働けてよかったと思ってもらえること」が、社長と上司の「ねぎらい」となりますから。
この記事は
株式会社ごえん 代表取締役社長
地域商店コンサルタント
山田文美(やまだあやみ)
が書きました。
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