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【実例】値上げのための勇気と技術・真面目に商売している店こそ今すぐ!

    
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【実例】値上げのための勇気と技術・真面目に商売している店こそ今すぐ!

 手元に残る利益を増やす方法は、
①販売価格を上げる
②客数を増やす
③原価を下げる
④経費削減
 の4つです。
 これらのうちで「上げるもの」は価格と客数で、「下げるもの」は原価と経費です。当たり前だと思われるでしょうが、当たり前だからこそ、この法則に逆らうと、結果が厳しくなるのです。

値引きや安売りは「血を売る」ようなもの

 値上げとは、そもそも何を上げるのでしょうか。
 価格-仕入原価=荒利益ですから、800円-600円=200円の荒利益です。
 この商材を200円値上げすると、800円+200円ー600円=400円となります。値上げをしても仕入原価は変わりませんから、値上げをすると荒利益が変わるということが分かります。
 つまり、値上げとは荒利益を上げることです。

 荒利益は、利便性と付加価値からできています。利便性とは、それがあると役に立って困り事が解決されることです。付加価値とは、役立ち度は変わらないけれど欲望が満足することです。この2つがうまくお客様に伝わったときに、商品は売れていきます。

 腕時計を例に挙げましょう。100円均一で買っても、有名ブランド品を買っても、一日は同じ24時間です。でも、価格が違うということは明確に仕入価格以上に違う何かがあるのです。それは、防水や強度という利便性や、メーカーの歴史や使用している有名人のイメージ、装飾として使われている宝石が表す権威などです。これらが荒利益の内容で、値段に差がつく理由です。

価格=仕入原価+荒利益(利便性+付加価値)

 値下げとは、こうした荒利益になる利便性と付加価値を伝えないで、その代わりに値札を書き換える作業だけで粗利益を減らすことです。
 荒利益からしか経費を支払うことはできません。人に例えれば、荒利益は血です。体の隅々に必要なものを届け、体をつくっていきます。商人にとって荒利益は血と同じです。値引きや安売りは血を売ることですから、体力がなくなります。貧血になっていては、お客様の役に立つことができません。
 商人が本当に売るべきものは、便利さや気持ち良さなのです。お客様が買わないのは値段が高いからではなく、欲しくないからです。お客様は利便性と付加価値がしっかり伝わると”欲しい”と思うのです。
 そして、値上げにも種類があります。商材の特徴によって、値上げの技術が変わります。

2014.7値上げのための勇気と技術-01

値上げの技術:1 定価のあるもの

 定価のある商材は、定価以上に値上げはできません。ところが、定価があると、なぜか二重価格表示にして割引販売をする店が多いのです。
 お客様は、利便性や付加価値を教えられない限り、それを知ることはありません。店側は専門家でも、お客様は価値基準を知らないのです。誰にでも分かるのは数字の大小です。専門家のような知識を持たず、でもその商品が必要だとしたら多くのお客様は”失敗をしても後悔が少ないように”と安い方を選びます。
 店は取扱商材の専門家です。専門家として当たり前の知識でも、お客様は知らないのですから、まずは利便性と付加価値をしっかりと伝えましょう。そして、値札を定価に戻しましょう。
 値札は定価のままでも、販売時についつい値引きをしてしまう癖のある店も多く見掛けます。こうしたケースは、お客様が頼みもしないのに、店側が勝手に値引きをしています。値引きをすることで、”良い人”と思われたい、もしくは自信のなさを値引きすることで許してもらいたいのかもしれません。
 値引きをしないと他店へお客が流れてしまうかもしれないとの不安があるのでしょう。ですが、自信のない専門家ほど、お客様に怪しまれます。もっと専門家として自信を持ちましょう。そのために勉強して日々技術を磨いているのではありませんか。「まずいかもしれませんが食べてみますか」より、「おいしいのでぜひ食べてください」と言われた方が食べたくなるのと同じです。
 家族で経営している岐阜県のある衣料品店では、スタッフそれぞれがお客様から要望もないのに、購入金額の端数を勝手に値下げしていました。この勝手な端数値引きをやめてみたら、一年間で約100万円の荒利益が増えました。客数も変わりません。
 定価販売によってお客様に安定した価値を提供します。それは満足となって次回の購入へとつながっていきます。定価販売に徹すれば粗利益を確保できるので、購入後の”お客様サービス”で経費を使ってさらに満足を提供できます。逆に、その場逃れの値引きではリピート客はつくれません。
◆定価のあるものは、値下げ、値引きをやめ、利便性と付加価値を伝え切る

値上げの技術:2 定価のないもの

 値付け自由な商材があるのなら、今すぐ値上げをしてください。
 値付けのコツは、荒利益を先に決めることです。それに原価を足して販売価格にします。新メニューなのに、荒利益額を以前のメニューと同じにするのは間違いです。荒利益額に見合った利便性と付加価値を伝えることで、新価格は成り立ちます。
 定価のない値付けが自由な商材は、技術系商材に多く見られ、その技術の組み合わせを変えることで新メニューが生まれます。現在中心に売れているメニューを一番安価な価格帯にして、その上の価格帯に2つの新メニューを作りましょう。
 技術系商材の特徴は、注文を受けた後に準備や仕入れをしても間に合うことです。つまり、メニューを作って、書いて、提示しておくだけでいいのです。
 最も売れるのは、一番安価な価格帯のメニューです。しかし、メニューの価格が2つ以上あれば、お客様は選ぶことができます。お客様は常に安いものを選ぶわけではなく、高額なメニューを希望するお客様もいることを忘れてはいけません。一番安価なメニューも、高額なメニューがあることで、その価値が上がります。
 例えば、時計や化粧品のように定価の縛りが大きく、荒利益が少ない商材でも、値付け自由な部分を探してつくり出しましょう。定価以上の値上げはできませんが、時計修理メニューやエステなら、値付けが自由です。価格のほぼ100%が技術料の商材なのに、10年前と同じ価格のままにしていませんか。
 お客様がそのメニューを購入する理由は、自分で解決できないからです。つまり利便性があるということです。
 高い技術を習得していれば、利便性にプラスしてより大きな満足をお客様に提供できます。技術を習得するのに時間とお金をかけて、各種の資格を持っているのに、その価値をお客様に広める努力をしていない店が多過ぎます。数字だけを見るから、ライバル店と同じ価格にしたくなるのです。他店との価格の違いが、利便性と付加価値によるものだということをお客に伝えもしないで、ただ横並びに決定してはいけません。
 愛媛県にあるエステ店では、集客用エステメニューの値上げをしました。ミニコミ誌には、値上げ前の価格を初回来店時の広告クーポン割引価格として掲載し、2回目からは通常料金=値上げ後の価格になる仕組みにしたところ、反応が増えました。ライバル店の1.5~2倍の価格ですが、価格以外の部分に価値を求めるお客様を集客でき、満足感もリピート率も高く保っています。
 安さだけに価値を感じるお客様は、ライバル店に請け負ってもらおうと考えましょう。
◆定価のないものは、新メニュー開発が値上げに直結する

値上げの技術:3 一生に一回しか購入しない商品

 ”値下げに見える値上げ”があります。それは、一生に一回もしくは数回しか購入しない商品で、そのとき自店で購入してもらえなかったら、その後は一生購入しないようなものです。こうした商品は、入り口を安く設定し、反応があった後は、丁寧な接客販売で単価をアップする仕組みが有効です。
 東京都のある写真館では、七五三の写真メニューの中で一番安価なコースを少し変えて、ライバル店より安く設定して新メニューとしました。七五三は一生に一回なので、自店を検討してもらうチャンスを逃したら二度と購入してもらえなくなります。ここでポイントとなるのは、購入のためではなく、購入する候補店にしてもらい、接客するチャンスを作るためのメニューだということです。
 こうした商材は、”値下げに見える値上げ”によって確実に客数が増えます。ただし、価格を変更する場合は、変更前よりも変更後に2倍以上の集客が間違いなく見込めなければ、変更する意味はありません。
 この方法は、既存メニューの一部を変えた新メニューが値下げに見えるだけですから、荒利益は確保されています。集客に成功した後は、接客によってお客様の要望を細かく聞き出し、お客様の心に寄り添い、喜ばれる追加メニューの提案をします。
◆一生に一回しか購入しない商品は、現在の商品内容を分解してシンプルな安い、”入り口メニュー”をつくり、接客販売で”提案メニュー”を薦めて単価アップを図る

値上げの理由を納得してもらう顧客説得術

 値上げをする際に必要なのは「勇気」です。値上げができないままだと、数年後に自分の商売がなくなってしまう可能性が高くなります。人口は減り続け、原材料費も税金も上がることが予想される中で、値下げに頼ったままでは荒利益が限りなくゼロに近づきます。果ては経費の方が多くなり、赤字になってしまいます。
 値上げを検討して感じる不安は、「値上げしてお客さまが減ってしまったらどうしよう」というものでしょう。商売は今日の売り上げに何の保証もありません。先月売れたように今月も売れるという保証はないのです。それなのに仕入金額・家賃・人件費などの経費という支出は、先に確定しているのが商売です。
 値上げをしたいと思いながら数年悩み続けていた、東京都の理容店があります。値上げしないと、あと数年持たないと数字的に分かっていても、お客様にとって不親切ではないかと迷うのでした。
 そうして悩みながら、「自分の店がなくなったら、このお客様はどうするのだろう」と考えたときに気が付いたのです。「自分の店が生き残ることが、このお客様のためになるのだ」と。安さだけの店は他にもある。だけどこのお客様の好みと癖を知っているのは自分しかいない。だから、生き残らなければいけない。
 そう気が付き、店主は値上げに踏み切りました。まずは女性の顔そりを1.5倍に値上げ、その後カットも続き、現行の3倍の値上げとなる新メニューの開発もしました。
 リピート商材で値上げをするときは一定期間の告知をします。住所、氏名の名簿がある場合は手紙を出します。もしくは、来店時に手渡ししてリピートの平均日数の間は告知をしましょう。1回限りの商材は告知の必要はありませんので、今すぐ値上げしましょう。
 値上げ告知の手紙には、以下のことを書きます。
 まず、日頃のご愛顧に対する感謝。次に、この仕事を通してお客様のどんな役に立ちたいのか、そのために値上げが必要なこと、最後に値上げする日です。この手紙とは別に、自分が仕事で大切にしている技術や商品についてつづったものと、新価格表を同封します。新価格表には、価格だけではなく、利便性と付加価値も忘れずに書きます。
 前出の理容店は告知と手紙を送った後、思い切った値上げをしました。結果、多くのお客様から「ここがなくなると困る」と言われ、以前と変わらず予約が入っています。さらには手紙に対するお礼までも言われたそうです。
 真面目に商売している店こそ値上げは必要なのです。

2014.7値上げのための勇気と技術-02

この記事は
株式会社ごえん 代表取締役社長
地域商店コンサルタント
山田文美(やまだあやみ)
が書きました。

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