Q:ビジネス雑誌にはいろんな先生が紹介されます。山田さんには師匠がいますか?

はい。いろんな師匠がいます。ここでは‘‘商売の師匠‘‘について答えますね。
私が時計店を継いですぐ先代を亡くしました。商品の仕入れ方すら分からず、先輩が欲しいと思って時計組合に入れてもらいました。
初めて参加した組合の総会で、新参者の私に「以前お義母さんに買い物していただき、ありがとうございました」と深々と頭を下げられる人がいました。私の所属することになる支部長でした。彼は楽器店も経営されていて、私の主人の母が30年前にピアノを買い、そのことを知らない私にお礼を言われたのです。
私は「ああ!お礼とはこう言うのか、頭とはこう下げるのか!」と教えられました。商売とは商品の仕入れ方とかではなく、まずお客さまへの感謝から始めなくてはいけないと体験させていただいた瞬間です。
私がコンサルタントを始めた時にも彼には大切なことを教えられました。時計組合の総会の席で「僕は10分の時間がつくれる。その時間をあなたにあげるから好きなことを話しなさい」とマイクを渡されました。人を応援する方法は、自分ができることを伝えることだと教わりました。
そして、商売最大の師匠は‘‘店のお客様たち‘‘。この師匠は厳しいです。評価が「買うか買わないか」だからです。うまくできたら、買うという行為で評価してくれる師匠たちです。売れないときは、師匠であるお客様が「これじゃ駄目だよ」と教えてくれているのです。この教えに気付くのに長くかかりました。「どうしていい商品を並べているのに買ってくれないのか?」「なぜ、私の商品より劣るものにお金を払うのか?」とばかり考えていると売れません。私の商品は誰のために役立つのかを明確に伝えられると買い物していただけます。
お客様の‘‘さま‘‘は姿形を映す様子の‘‘さま‘‘です。来店客をみれば店主が見えます。人は自分と似た人から買物する生き物だからです。
値引きを要求するお客様は、店が自分の商品価格のことしか伝えないから現れるのです。文句の多いお客様は、店側の文句も多いのです。どんなお客様も自分が集めた結果の‘‘さま‘‘です。私たちが商売の道を誤ると、瞬間に売り上げ減として教えをもたらしてくれる、お客様という名の師匠たちです。
商売界には、やり方を見せてくれる先輩や同士という優しい師匠たちがたくさんいます。その方法は、あなたのお客様である厳しい師匠を喜ばせてくれるはずです。
A:はい、あなたと同じ師匠がいます。
この記事は
株式会社ごえん 代表取締役社長
地域商店コンサルタント
山田文美(やまだあやみ)
が書きました。
関連記事はこちら