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返品のない購入を促し関連購買で単価アップを図る

    
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返品のない購入を促し関連購買で単価アップを図る

 試着は、単なるお試しではありません。商品価値を伝えるチャンスをつくり出し、口頭での説明では伝わらない価値を直接感じてもらえます。お客との物理的距離が近くなるので、親近感もつくり出せます。試着は、売上げにつながる大切なアクション。全てセルフで試してもらうのではなく、接客の一過程として考えましょう。

試着を勧めて購入後の気変わりを減らす

 初めに、衣料品がその代表ですが、サイズ展開のある商品は「基本的に試着は必須」と考えてください。試着の基本目的は、確実な購入をつくり出すことです。購入時に試着をしていただくことで、購入後のサイズ交換や、サイズ不備での返品、「気が変わった」などの返品が減ります。
 こうした購入後の事後処理は、店側は手間がかかり、売上げがなくなると気分も落ち込みます。それ以上に、お客に手間を取らせ、余計な気遣いをさせてしまい、来店回数に影響することもあります。前述のようなやり直しは、試着をしていない場合に多く起こります。お客が「試着は必要ない」と言われても、意識的に試着を勧めましょう。

試着した状態なら商品説明も受けやすい

 当然ですが、人の体は身長も形もさまざま。たとえ同じ身長・体重でも、手足の長さなどは違います。だから、人の体に接触する物は全て試着対象アイテムです。服や下着、靴に帽子、手袋、かばん、椅子、車、布団、自転車など、フィット感を試してもらうと衝動買いか生まれることがあります。
 お客が欲しくなってからの試着は、確認事項が辛口になります。商品の良しあしの確認ではなく、「悪いところがないか」を確認するからです。
 逆に、欲しくなる前の検討段階での試着にはどんな効果があるでしょうか。物だけを見ていても心が動かなかった。でも試着したら、自分がこの商品を使う様子が具体的に想像できた。これは衝動買いへと進みます。
 ただ見ているだけのときよりも、試着している状態で商品説明をした方が熱心に聞いてもらえます。理由は、人は整合性を求めるからです。自ら試着したのだから、試着時の説明に対し協力的になります。だから、まずは試着へと誘い、試着時に詳しい説明をする手順を取り入れましょう。

試着時の実感を伝え試着へ誘う

 まず試着する商品を決めてもらうことを目標にします。そのためには商品説明時に、試着すると実感できる特徴を加えましょう。
 これは素材などのスペック説明だけにとどまりません。「このボタン留めがポイントで、着て動いてもずれ落ちにくいんですよ。でも窮屈じゃないんです。試着だけしてみませんか?」などと積極的に声掛けをしましょう。お客の8割は売り付けられるのが苦手ですから、「試着しませんか」より「試着だけしてみませんか」と、試着限定のお勧めが効果的。もちろん、試着時に気に入られたようなら、即購入を促しましょう。
 試着室の写真と、試着しているイメージ写真をPOPにして店頭店内に設置しましょう(図表②)。一般に、人間には見るとイメージしやすくなる性質があるからです。売り手の立場だと、当たり前過ぎるかもしれません。でも、お客には「当たり前のことでも丁寧に伝えている店だ。私のことも丁寧に扱ってくれるだろう」と感じてもらえ、結果試着率もアップします。
 商品ディスプレーは、商品が一番きれいに見える角度で展示しましょう。例えば、服など衣料品であれば、正面を多く見せるべきです。展示効率を優先して、ぎゅうぎゅうに商品を詰めてはいけません。お客の立場からすれば、引っ張り出さなくてはいけない商品は魅力が落ちてしまい、試着につながりにくくなります。

2018.6体験で伝える商品価値-02

試着してもらえばコーディネート提案も

 繰り返しますが、「買う気満々、試着の必要はない」というお客でも、できる限り試着してもらいましょう。試着に合わせた商品提案が、単価アップにつながるからです。興味ある商品だけ単品で試してもらうなら、実はセルフサービスで十分です。ですが、接客しながらの試着なら、「その商品に合う別の商品を幾つ見せられるか」が、販売員の腕の見せどころになります。
 試着した商品一点だけを示し、「いかがですか」と感想を伺ってはいけません。一点しか見せていないときだと、「買うか買わないか」という選択を迫ることになり、購入率は下がります。
 数点の別商品を提案した後に「いかがですか」と伺うと、「買うとするならどれかな」とお客の選択肢が広がります。
 スーツならインナーや小物の提案、指輪ならネックレス・ピアスの提案、枕なら敷布団の提案など。
 その際、基本ですが、手を抜かないことです。提案が多いほど、試着中の商品を使う未来が具体的に想像できて、「これ、欲しい」に至ります。

欠点をカバーできる接客トーク

 お客の要望を全てカバーできる魔法の商品は存在しません。例えば、「ふんわり柔らかい生地を使っている。でも伸びやすい」商品の場合。
 欠点となる部分は、試着時に「着ていただくと柔らかさが感じていただけますよね」と、先に利点の同意を得ます。「だからこそ、だんだんとなじんで着こなし感が出てきます」などと、利点の同意を得てから欠点もポジティブ表現で伝えましょう。
 また、「個性的で見栄えがする。でも、手持ちの物と合わせにくい」場合。「このアイテムと合わせれば、お手持ちのベーシックな白黒グレーの着回しの幅がぐっと広がりますよ」と笑顔で伝えてみましょう。

サイズが合わない、似合わない、への対応

 試着にはフォローが必要になる場面もあります。特にサイズが合うか合わないか微妙なときは、試着時に最初から2サイズ用意しましょう。
 それが難しい場合、似たようなイメージの別商品でサイズ違いを試着中に用意しておきます。サイズが合わない素振りが見られたら、すかさず「こちらはちょうどかもしれませんよ」などと勧めましょう。それができない場合で、お直しが可能なら、試着前に「〇〇の部分はお直しができますよ」と先に伝えておきましょう。
 似合わない場合もあります。お客の表情と反応を見て、言葉に詰まり硬い表情だったら、想定と違っていたと思いましょう。お客自身が似合わないと思っているときは、無理に似合うと伝えるのは逆効果です。その場合「これもいいですが、こちらの方が〇〇で、もっと似合いますよ」と否定せずに、別の商品を勧めてみましょう。
 また、気に入っていただいた商品でも、お客の予算と合わないこともあります。
 この場合、カードで分割払いなどを提案し、気に入られた理由を繰り返しながら、もう一度お勧めします。予算内の似たような別商品の提案もしますが、本命商品を常に隣で見せておきましょう。
 「高いわ」と言われた場合は、否定しないように気を付けます。「そうなんです。高いんです」と肯定すると「そうよね」とお客は同意されます。その次に「高い理由があるのです。その説明だけさせていただいてよろしいですか」と許可を求め、商品特徴を説明しましょう。
 否定せずに同意をもらいながら商品説明することで、予算オーバーでも少なからず購入に至ります。
 なお、試着が個室になる場合は、お客が冷静になる場所ですから、買いたい気分に水を差さないように個室をつくり込みましょう。照明を暖色系に、カーテンやじゅうたんなど手足が触れる部分は高級感のあるものを選びましょう。日常を思い出すと買物気分も失せます。カレンダー、時計、注意書きなどな極力排除しましょう。
 買うか買わないかは、最終的にお客自身が決めること。「欲しい」を手助けするよう、試着を誘導しましょう。 

2018.6体験で伝える商品価値-01

この記事は
株式会社ごえん 代表取締役社長
地域商店コンサルタント
山田文美(やまだあやみ)
が書きました。

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