【集客力を上げる方法実例】なぜ、あのお店ばかりにお客が集まるのか?行列店大集合!

既存客に自店の“当たり前”を伝えた時に行列はつくれる/時計・眼鏡・補聴器店/兵庫・篠山市
お客に伝えなければいけないことは何だろうか。何を伝えるかで売上げが違ってくる。うまく伝わると、値引きもなく当たり前の商材だけで行列もつくれてしまう。
自店の当たり前をDMにして行列をつくるのが、眼鏡店「時計・メガネ・補聴器 ツチヤ」だ。DMには奇抜なキャッチコピーもなく、文字がたくさんぎっしりと並んでいて、店内での写真が2点だけ。
フレームやレンズなど商品は一つも載っていない。ただただ、ツチヤの店主の視力測定に懸ける思いが語られているだけだ。来店してもらうための仕掛けは無料視力測定と、非常に地味である。
この地味なDMが視力測定の行列をつくり出している。どこの眼鏡店でも無料でやっている視力測定だが、ツチヤの視力測定は50分から90分もかかる。通常の眼鏡店の倍以上の時間だ。
予約を取らないので、土日祝日などはお客が重なるが、お客は誰もが「いいよ。待っているから」と順番待ちをしてくれる。特に商品が安いわけでも、珍しい限定品を用意しているわけでもなく、通常の店頭での出来事である。

購入率49%!驚異のDMの内容とは?
実はこのDMを始める前は、メーカーチラシを新聞折り込みしていた。一万枚折り込んでも、反応は1件から数件止まり。それなら同じ経費で既存顧客に向けてDMを出してみようと、新しく始めた取り組みだった。
一か月のDM枚数は988枚。この枚数は、チラシに掛けていた経費と同程度の経費でできる枚数という基準で決めた。
なんと、反応は60件以上。実際の視力測定人数は54人、購入者は48人。安売りしての集客ではないので荒利益もしっかりある。
どうせ新しく始めるのなら、同じチラシを単純に既存顧客名簿に送るのではなく「当店が大切にしていること」を伝えようと、店主の土屋徳純さんは考えた。眼鏡で何よりも大切なのは「見え方」だ。だからこそ視力測定を大切にしている。今まで「当たり前だ」と思っていたから、お客にこうした思いを語ったことはなかった。
この大切にしている思いをお客にもう一度しっかり語ったらどうなったか?
「視力測定をしてほしい」とDM封筒を持ったお客が次々と来店してくれた。「眼鏡が欲しい」とは言われず、「視力測定をしてほしい」と希望してくれた。そのためには50分以上の待ち時間がかかるのに、お客は誰も苦にしないで行列をつくってくれている。

来店動機は「それっていいなあ」
眼鏡は「お得だから買いませんか?」と勧められても、実際は「見にくく感じている」、もしくは「今の眼鏡に不都合がある」というタイミングでなければ買わないものだ。眼鏡購入の検討を始めた人が視力測定を希望することはあるが、購入を検討していないのに希望することは非常に少ない。
たまたま買い替えようと思っていたお客が、DMを出した月だけ都合よくいたわけではない。DMを読んで、ツチヤの店主がどれだけ視力測定を大切に思っているかを知ったお客は、この思いに共感して「じゃあ、その視力測定を一回受けてみよう」と考えを新しくしたのだ。
共感とは「それっていいなあ」と感じること。共に感じると書くように、人は他人の感情に反応する。店主が大切にしていることを語ると、同じことに共感してお客自身がそれが大切だと感じ、そこから来店につながる。
視力測定が大切だと共感したお客は、実際の視力測定で「あれ?思っていたより自分は見えていない」「今の眼鏡では見え方に不都合があるぞ」と気づき、眼鏡の必要性に自ら納得する。だから特に割引もないのに視力測定した人の89%もが購入につながっているのだ。
購入に至らなかった場合でも、眼鏡ではお役に立てない状況という理由から、医療機関を紹介したお客がほとんどであった。
眼鏡業界のスピード平均年数は3年といわれる。この数字は「お客自らが買い替えようと思う年数」なのだろう。こうして店側から「今が買い替えどきだ」とお客自らに気づいてもらう仕掛けができたら、この数字は確実に変化する。
ツチヤでも、一般的な「眼鏡をお作りいただき1年たちました」「~〇年たちました」というお知らせはがきは送付していた。しかし、反応は非常に少なかった。その内容でお客は「なぜ今買い替えなきゃいけないのか」が理解できなかったのだ。お客が眼鏡購入を考えるタイミングは、購入してからの数年ではなく、今の見え方に不都合があるかどうか、なのだから。
視力測定はどの店でも無料で実施されているサービスである。しかし、無料のことほど多くを語らないと大切さが伝わらない。
同じように、店が当たり前だと思っていることも、意識して語らないとお客に伝わらない。自店にとっての当たり前が、自店にとっての大切なことと一致するのであれば、それは一番先にお客に伝えるべきことだ。
当たり前を大切に伝えると、当たり前を大切に思うお客が集まる。しかも、50分以上も視力測定待ちをしてくれる優しいお客である。
お客は集めたように集まることを教えてくれる事例である。
行列の秘密
店が当たり前と思っているモノの中に行列のタネは必ずある


この記事は
株式会社ごえん 代表取締役社長
地域商店コンサルタント
山田文美(やまだあやみ)
が書きました。
関連記事はこちら