人柄が伝わればお客は安心する。チラシ、HP、SNSでは「個」を出していこう!

人柄が伝わればお客は安心する

チラシに自分のキャラや秘密を載せることを、恥ずかしがる方がいますね。でも、恥ずかしいから効果があるのです。自分をさらけ出すと、自分に共感するお客が寄ってきます。

 買物方法の多様化が止まりません。自宅の居間でインターネット購入、テレビショッピング、カタログ通販、外出先でのスマートフォン、リアル店舗に専門家を招いての催事など。消耗品は自動発注で利便性が進み、販売員は機械でもいいのではとさえ錯覚します。
 それでも町の店はなくなりません。販売員は、その魅力によって同じ人であるお客を引き付けるからです。販売員の個性も、買物の多様化の一つです。

入店しない理由のトップ 販売員の人柄が不安

「ヒトはヒトが怖い生き物」といわれますが、群れで、複雑な社会で暮らすほど人を必要とします。週刊誌やテレビのゴシップネタは常に注目されます。良くも悪くも、他人が気になるのです。
 初めての店舗に入ることを躊躇する理由のトップが「何も買わずに無事出てこられるだろうか」です。店はそれほど恐ろしい場所ではないと思いますが、よく知らない人に接客されるのが怖いのです。大型店が入店しやすいのは、人と人の距離が遠いからです。町の店は狭いので、お客と販売員が近くて縄張りが重なり、相手を知らないと近寄れません。怒られないか、バカにされないか、けんもほろろに扱われないか、などと心配するのがお客です。
 人は自分の体も心も傷つけられたくありません。販売員の人柄を知り、好ましいと感じれば近寄っても大丈夫だと理解し、「この人に会いたい」と好奇心が湧きます。恐れは人を遠ざけますが、好奇心は人を積極的にします。

人柄が伝われば店に行きたくなる

他人が気になって仕方ない「人」、お客は、販売員のキャラクターを知ると好奇心を刺激されます。店に行って、この販売員に会ってみたいと思います。そして実際に行動します。
 岐阜県の某時計店では、販売員の趣味や、日常の出来事を中心に書いたチラシを新聞に折り込みました。見た映画の感想や、お気に入りのレモン水の作り方、お客に教わった地域情報、家族旅行の話などが書かれています。
 すると、店の向かい側の電柱の陰から店をのぞく人が続出しました。ショーウインドー越しに店内をのぞく人と、目が合う回数も増えました。商品と価格だけをチラシに載せていたときには、何の反応もありませんでした。なのに、内容を販売員の日常に変えた途端、注目度が一気にアップしたのです。町を歩いていて「チラシ読んだよ」と声掛けされることも増えました。それでも、入店までにはなかなか至りません。
 新規来店した人たちには、共通点がありました。時計の電池交換や修理、新規購入といった、店に用事のある人たちです。外から店の中をうかがう人は、用事がないのにわざわざ足を運んだ人たちだと気付きました。
 そして、修理依頼する人の中にも、少し変わった点がありました。普段は時計を使わない人が、わざわざ修理が必要な時計を家で探してきて、来店したのです。今まで存在すら忘れていた時計を、使いもしないのに修理に持ってくる理由は、「チラシを書いた人に会ってみたい」からでした。

入店しやすくする口実商品の効果

チラシを書いた人を見るためだけに店の前まで足を運び、用事があれば入店します。そこで、チラシにもうひと工夫しました。用事がなくても入りやすくするために、購入しやすい”口実商材”を載せたのです。販売員が日常自分用に購入している菓子を、仕入れて販売すると告知しました。すると、かつてない新規来店数となりました。
 もちろん時計店ですから、菓子だけ売っていては経営は立ちゆきません。入店したお客に声を掛け、自店商材を知ってもらう会話を交わし、名前と連絡先を教えてもらいます。
 一般に、新規客は声掛けしても反応が薄く、ましてや個人情報を気安く教えてはくれません。でも、販売員の人柄をチラシで知り、好感を持って来店しているお客とは会話が弾み、名前や連絡先も喜んで教えてもらえます。

自分のキャラを出す 恥ずかしいから効果あり

従来のチラシは商品と価格が中心です。販売員の個人的な好みや日常の出来事などは、「書いてはいけない」と思われていました。実は、「書いてはいけない」ではなくて「書かなくても物の求心力で売れていた」だけです。
 物を手に入れる方法、買物が多様化し、やっと人柄を前面に出すようになりました。入手方法に困らなくなったのだから嫌いな人から購入する必要がなくなり、「誰から買うかを選べる」時代になったのです。当然、好きな人から買いたいと思うのが人の常です。
 買物が多様化した状況では、他(の入手方法)との違いをアピールしなければ選んでもらえません。その一つとして、世界でたった一人の販売員、つまり自分は、この店にしかない貴重な資源で、何よりも伝えたい特徴です。
 人柄のアピール方法は「こんなことチラシに書いてもいいのか」と思うくらいのカミングアウトが効果的です。
 滋賀県の某薬店の店主が、自分の病気体験談をチラシに書く際に「これで俺は明日から恥ずかしい思いをする」と覚悟を決めました。すると、来店したのは共感してくれたお客ばかりで、何も恥ずかしいことはありませんでした。本当の秘密まで書く必要はないのです。”友達と道で擦れ違ったときに話す”くらいのちょっとした近況報告で十分です。
 人は好ましいと思った人とだけ友人になります。同様に、チラシに共感した人だけが来店しますから、初対面でも気の合う新規客が集まりますよ。

「誰が書いたか」明確に 従来にない効果も

チラシで「書き手が誰か」を明確にすると、お客の信頼性が上がります。
 愛媛県の某酒店で、チラシに店主の顔写真とともに、海外のワイン生産者を訪ねた際の旅行記と、その口実商品として一本のワインを載せました。配布日は大型台風が直撃したのですが、次々と新規客が来店、おすすめの商品以外も購入されました。名前や連絡先も喜んで教えてくれ、その後DMを送付し、さらに購入につながりました。商品と割引価格だけの従来のチラシでは、あり得ないことでした。

「私は思う」「私は感じる」「主語+感情」形式で書く

人柄を感じてもらいたいときは「主語+感情」という形で書きます。「私は」という主語から始まる文章は、読み手に反感を持たれることなく受け取られるのが利点です。
 愛知県の某表具店では、従来のチラシは主語を使わず特徴などの説明だけでしたが、それを見た同業者から抗議の電話をもらっていました。そこで、内容は変えず、主語をつけて思いを伝えるように改めたところ、それに対する感想や応援が届くようになりました。

特定個人を想定、一人の人に向けて書く

チラシは多数の人に向けて配布します。だからつい「皆さん」などと、大勢に向けた書き出しになりやすいのです。ですが、読み手はいつも一人。実際の個人を想定して書いてみましょう。
 北海道の某美容室では、全てのサービスを伝えるチラシを改め、”くせ毛に悩むAさん”に向けて語り掛ける内容に変更しました。もちろん、実際には全ての髪質に対応できます。しかし、あえて一つだけを伝えたのです。結果は、くせ毛以外の人の来店も増えたのでした。
 特定の人を想定して作るチラシは、理解されやすく反応が良くなります。思い切って、チラシで個人的な好き嫌いや日常を書いてみましょう。口実商品を載せるのもお忘れなく。

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