Q:お客さまが欲しがるものを仕入れても売れず、在庫ばかりが増えてしまいます

お客さまの要望の多くは“ないものねだり”です。
「Aで、なおかつBも、さらにCまで」と希望されます。
例えば、「仕事でスーツのときに履けて、山歩きもできて、パーティドレスにも合う靴が欲しいの」と言われるようなものです。一つの商品に多くを求めることが、買物の始まりです。
人は、「何かが欲しい」と思うとまずは想像を広げます。「あれもいいな、それもいいな、いやいや、こっちもいいぞ」と多くの情報を集めます。
そしてどうやら欲求を満たす完璧な商品はないと気付き、だったらひとまずこれにしようと妥協できた物を買うと、買物が終了します。
買物行為とは、頭の中での想像を、物という現実に置き換える作業です。そしてうまく妥協できると購入につながります。
こうしたお客さまの買物行動の中で、店舗には大切な役割があります。お客さまの広がってしまった想像を物に落とし込んでいく作業のお手伝いです。
魔法の靴はないのですから、仕事と山歩きとパーティのうち、何を優先するのか、目的を具体化する手助けが必要なのです。この手助けをしないで、お客さまが「欲しい」とおっしゃっているものを仕入れてしまうと売れないのです。お客さまは「物」が欲しいのではなく、その物があるとかなう「何か」が欲しいのですから。
接客でお客さまに寄り添うとは、この「何か」を具体化するために、質問して提案する繰り返しを行うことです。
ある靴店のお客さまは、全員同じことを希望されます。「楽な靴が欲しいの」と。ところが、最終的に購入される靴は全員が違う靴です。
誰もが「楽」とおっしゃいますが、人によってその定義が違うからです。お客さまは自分が知っている言葉だけで何とかかなえたい状態を伝えようとします。ですが、お客さまは商品については素人ですから専門用語を知らず、うまく伝えられないのです。
あなたは自身の商売の専門家なので、お客さまの言葉にならない部分をくみ取って質問をしなくてはいけません。
「仕事は立ち仕事ですか?仕事場の床の材質は何ですか?移動は多いですか?どんな動作が多いですか?」などと、一足の靴を選ぶにも、専門家だからこそ質問すべき言葉があるはずです。想像を現実に置き換えていくためのお手伝いがあってこそ、お客さまは「そうそう!こんなのが欲しかったのよ」と気付けるのです。
物をただ選ぶだけなら、専門家は必要ありません。より多くの在庫がある店で靴を片っ端から履いては脱ぎを繰り返せばいいからです。
そこに専門家のあなたの存在意義があります。お客さまの「欲しい」の先にある未来について丁寧に質問すると、在庫商品の中から提案でき、在庫になくても、具体的な使用目的に沿った仕入ができて、早々に売れていきます。目的のある仕入をなさってください。
A:なぜ欲しいのか?具体的に質問しましょう
この記事は
株式会社ごえん 代表取締役社長
地域商店コンサルタント
山田文美(やまだあやみ)
が書きました。
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